夜の蕁麻疹

日々の想い、映画や本の感想

世界観を守ることと壊すこと

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不安感というのは不思議である。

理由のない不安があるのだ。大抵の不安は理由のないものだ、とも云える。理由は大抵、あとからついてくるようだ。
未知なものに対する時、人は不安になる。慣れないことをしようとするときも不安になる。失敗したらどうしようとか、傷つけられたらどうしよう、とか。こういう物事は、理由のある不安として、わかりやすい。でも、これらの理由は本当の理由だろうか?本当に人は失敗を恐れているのだろうか?傷つくことを恐れるだろうか?私は違うと思う。人は常に、自分自身の裡に生ずる心理を恐れているのだ。自身の創った世界観の崩壊を恐れるのである。
戦場の兵士は死を恐れる。D-dayに上陸用舟艇の船底で味わった恐怖を思えばいい。不安のあまりに発狂し、発狂してしまえば不安から開放される。狂気を手に入れれば兵士は死を恐れなくなる。狂気は世界観の放棄だから。そういう兵士は強いかもしれないが、死に近いだろう。不安は人が身の安全を確保するための、ある機能なのだろう。だから、それは理屈よりも直感に由来していて、説明のつかないことも、つまり理由がわからないこともあるのだ。

不安は、一体何から私を守ってくれているのだろうか?私がどんな事に、どんな時に不安を感じているのか、よく思い出すがいい。それは世界観の崩壊を促すもの、そして新たな世界を作り出す鍵になるものかもしれない。